昨日(7/30)、東京国立博物館で開催されている「空海と密教美術展」に行ってきました。10時30分ぐらいに到着しましたが、並ぶことなく、入館することができました。以下、印象に残った展示を紹介します。

・弘法大師自筆の書

弘法大師自筆の書が展示されていました。展覧会等では、よくお経の写本が展示されていますが、そこの文字はお手本になるような綺麗に整ったものです。一方、弘法大師の文字は力強いもので、その自筆を鑑賞できたことだけで感動しました。

・東寺 兜跋毘沙門天立像

東寺の宝物館に祀られている像で、私の好きな仏像です。宝物館では少し距離がありますが、展示では間近で、しかも360度からその姿を拝観することができました。

兜跋毘沙門天は目線が少し向かって右側を向いていますので、正面から少し右側に移動した場所からのお姿が一番良かったです。もちろん、後ろ姿も素晴らしかったです。また下にいる二鬼がユーモラスな表情なのが印象に残りました。この兜跋毘沙門天像を360度から拝観できるだけでも、密教展に来る価値はあると思いました。

・五大力菩薩像

大きな仏画です。「大きいことはいいことだ」ではありませんが、大きな仏画はやはり迫力があります。

高雄曼荼羅も大きな曼荼羅です。傷みのため、パッと見ただけではよく分かりませんが、しばらく眺めていると、描かれていた仏様がうっすらと見えてきます。

・東寺 女神坐像

大きく、たくましい像です。左手に未敷蓮華を持ち、右手は親指と中指で輪っかを作っていました。聖観音像によく見られるように、まだ開いていない蓮の花を開けようとしている姿、つまり、悟りを得ようとしている姿を表わしていました。

東寺には二体の女神像がありますが、2008年春に開催された東寺の特別展は「東寺鎮守八幡宮と足利尊氏」で、一体の女神像とお会いしました。その像が今回の像と一緒だったかどうかは残念ながら覚えていません。

・神護寺 五大虚空蔵菩薩像

神護寺に祀られている五大虚空蔵菩薩像の中、二体が展示されていました。五大虚空蔵菩薩像は神護寺で拝観したことがありますが、その時のイメージよりも大きく感じました。

像は本当に素晴らしいものです。私の隣で鑑賞していた年配の方が手を合わせていましたが、正に自然と手を合わせたくなる仏像です。

・獅子窟寺の薬師如来像

私は獅子窟寺には行ったことがありませんが、訪れた多くの人から素晴らしい仏像だと聞いていましたので、拝観するのを楽しみにしていました。

切れ長の目も気になりますが、衣の線のダイナミックさに目がいきます。特に足の部分の衣が素晴らしく、足の裏まで、衣で隠れています。

像は薬師如来なのに、薬壺ではなく、宝珠を持っていましたのが不思議でした。何か意味があるのでしょうか。

・醍醐寺 五大明王像

醍醐寺の霊宝館に安置されている像です。醍醐寺の五大明王像はインパクトの強い像ですが、私の好みではなく、あまり良い印象は持っていませんでした。

しかし、今回の展示ではとても素晴らしく感じました。これは展示でのライティングの見事さがあると思います。

醍醐寺からは如意輪観音像も展示されていましたが、こちらも霊宝館で拝観するのとは異なったイメージを持ちました。仏像は展示の仕方で受ける印象も随分違ってくるのだと思いました。

薬師如来三尊像も展示されていました。薬師如来像はとてもたくましく感じ、如来という感じがします。

・東寺 立体曼荼羅諸仏

東寺の立体曼荼羅を構成する二十一体から、梵天、持国天、金剛業菩薩、金剛法菩薩、降三世明王、大威徳明王、帝釈天、増長天像の八体が展示されています。

なんといっても素晴らしいのは、それらの像は360度から鑑賞することができることです(東寺ではできませんからね)。それぞれの像を360度から眺めましたが、不自然な部分は全くありませんでした。どの角度から眺めても自然となるように、仏師は造っていたんですね。運慶が東寺の立体曼荼羅の諸仏から大きく影響を受けたという理由も分かります。

以上、紹介しましたが、これ以外にも素晴らしい展示がたくさんあり、本当に良い展示でした。このような展示を一階だけ訪れるのはもったいないので、後、数回は訪れようと思っています。

(追記)8/7,8,9とNHK BSプレミアムで「空海 至宝と人生」が三夜連続で放送されるので、こちらも必見です。


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