今回の吉田さらささんとの仏像ツアーのテーマは「越後の木喰仏を訪ねて」でした。木食戒とは真言密教の修行の一つで、米や粟などの穀物を食べず、木の実のみを食べる行のことです。そのような行を積んでいる僧侶を木喰上人と呼びます。ですので、木喰上人と呼ばれる人は何人もいましたが、その中で微笑仏と呼ばれる仏像を彫った木喰五行明満が特に有名で、木喰上人と言えば、木喰五行明満のことを指します。

木喰上人は山梨県で生まれ、晩年に千体の仏像を刻むことを祈願して全国を巡りました。現在、木喰仏は日本全国に約620体ほど残っており、その中、約260体が新潟県に残っています。それだけ、木喰が新潟が好きだったということでしょう。

現在では木喰は円空と並ぶ、江戸時代の仏師として知られていますが、大正時代に柳宗悦がその作品を評価するまで、忘れれていた存在でした。そのような木喰仏を祀るお寺を巡るのが今回のツアーです。

まず最初に訪れたのは南魚沼市にある大崎院(だいきいん)です。大崎院の外観は民家のようで全くお寺らしくありませんでした。しかし、中に入るとそこは修験道のお寺でした。

中央には本尊の不動明王、脇侍に役行者が祀られており、お堂の向かって左側に不動明王、大黒天、吉祥天の木喰仏3体が安置されていました。

大黒天は俵の上ではなく、左手に持った袋の上に乗り、微笑を浮かべた、木喰仏らしいものでした。不動明王像は大山不動尊で、木喰上人が修行時代に過ごした神奈川県大山寺の不動明王の名前が付けられています。大崎院のある大崎は八海山信仰の中心地だったので、大山不動尊を彫ったのだと思います。

修験道のお寺らしく天狗のお面が飾ってありました。天狗の頭には山伏がかぶる小さな帽子がありました。またお法螺貝があったので、ご住職に法螺貝を吹いてもらいました。

拝観を終え、外に出ると雨がかなり降っています。吉田さんが晴女なので、このツアーでは雨が降ったことがなかったのですが、今回は初めて本格的な雨になりました。私は吉田さんの晴女を信じて傘をバスに置いてきたので、急いで、バスに戻りました。
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