「平成22年5月23日から平成24年5月20日まで本尊・馬頭観世音御開帳」
と書かれた案内がありました。御開帳機関が長いとまだ大丈夫だと思ってしまい、訪れないでいると、結局、訪れることができなかったという経験があるので、今回、訪れることが出来て本当に良かったです。

仁王門の仁王さんはなかなか立派でした。湛慶作と言われているそうで、その力強さから、慶派の作であることは間違いないと思います。また入口にまで結縁綱が伸びていましたので、結縁綱に触れ、境内を奥に進みます。
石段を上り切ると、目の前に立派な本堂が見えました。国宝の本堂と言われてもそう思うぐらい立派な本堂です。本来は先に受付で拝観料を払ってからの拝観ですが、丁度、お寺の方が本堂内に入ろうとしていたところだったので、そのまま一緒に本堂内に入りました(もちろん、後で拝観料は払いましたよ)。

堂内は厨子の中に馬頭観世音菩薩坐像、左右の壇に不動明王、毘沙門天像が祀られていました。まずは座って、お寺の方の説明を聞きます。
馬頭観音は三面八臂の像で、馬が草原の草を食べるように人々の煩悩を食べ尽くすという意味があるそうです。馬頭観音像に比べて、不動、毘沙門天像の方が新しいそうですが、馬頭観音像は秘仏で厨子に入っていたので、不動、毘沙門天像の方が痛みが激しいです。
馬頭観音像は赤い色がほんのりと残っています。日本にある馬頭観音像の内、三分の一が若狭地方、もう三分の一が太宰府(福岡)地方にあるそうです。これは両地方とも海外からの入口で、多数の渡来人が住んでおり、渡来人が信仰していたのではないかと考えられているそうです。
馬頭観音が両手で組んでいる印は馬口印と呼ばれ、そこに結縁綱が繋がっているそうです。以上で、説明が終わりましたので、移動して、近くで拝観しました。
・うっすら赤い色が残っている
・憤怒の表情
・多臂
であるため、愛染明王と近い印象を受けます。また右足裏をこちら側に見せています。湖北の徳円寺で両足の裏をこちら側に見せている馬頭観音像を拝観したので、馬頭観音像が足の裏を見せていると徳円寺を思い出します。
顔は憤怒の表情で怖い顔をしていますが、手は女性の手のように細く、優しい感じを受けました。顔は三面あり、正面の頭上には白馬、両脇の頭上には如来の化仏がありました。頭上の馬はとてもかわいらしく、お顔の厳しさとの対比が印象深いです。
光背も造立当時のもので、光背は白色、仏像は赤色、蓮弁は緑と赤色で、造立当時はとてもカラフルな像だったそうです。ロウソクの灯りのもと、そのような像を拝観した時、当時の人々はどのように感じたのでしょうか。
次は堂内右側に安置されている御前立の馬頭観音像を拝観しました。目が大きく、金色でご本尊の観音像とは随分違った印象を受けます。頭上の馬も赤色で、馬というより、べこ(牛)のようです。
御前立は中山寺よりも近くの松尾寺の馬頭観音像に似ている気がしたので、御前立の像は元々は松尾寺に祀られていた気がしましたが、どうなんでしょうか。
中山寺の馬頭観音像は本当に立派で、素晴らしかったです。今まで拝観した中ではベストな馬頭観音像だと思います。また同行した人と像について感じたことを色々話すことができ、有意義な拝観ができました。
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