月刊致知7月号の特集は「試練を超える」です。
巻頭の総リードより。

天は試練を与えてその人を試す、という言葉がある。天はその人の魂を磨き、人格を更に成長させるために試練を与えるのだ、ともいわれる。

天は無常無自性である。絶えず変化し、一瞬もとどまらない。そして、その働きは善悪という人間の価値判断をはるかに超越している。それが時として、言葉を絶する試練を人間に与えることにもなる。

天の試練に対して人類は、そこに何かの意味、何かの光を見出し、汲み取ろうとすることで試練を受け止め、乗り越えようとしてきた。

この地上に存在するあらゆる国家、組織、個人で、試練を受けずに来れたものは一つもないだろう。すべての生命体は必ず何らかの試練を受け、その試練を乗り越えて、いま、ここにあるのだ。

我が国はいま未曽有の大災害の渦中にある。だが目を過去に転じると、第二次世界大戦の壊滅から立ち上がり、見事に甦ったのだ。わずか十九年後に東京オリンピックを開催するまでに国力を回復させ、成長の軌道に乗せたのである。その原動力は何か。

一つは日本人の勤勉性である。吉田茂は言った。
「日本には何も資源がない。その国がここまで来れたのはなぜか。ただ一つの資源があったからだ。日本人の勤勉性という資源だ」

もう一つは忠誠心である。勤勉性と忠誠心。この二つの美質によって日本は六十六年前の壊滅的試練を乗り越え、今日の繁栄を築いた。この先人の足跡に、私たちは多くを学ばなければならない。

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吉田茂の言葉が心に響きました。日本は資源の無い国だとよく言われます。しかし、私たちには世界に誇れる資源があります。それは勤勉性という資源です。
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