今回の展示のテーマは遊戯坐像だと思います。遊戯坐像は当時、中国で盛んに作られており、鎌倉は中国(禅)文化を積極的に取り入れていたので、日本における遊戯坐像は鎌倉周辺で特に多くなっています。
今回の展示のポスターにも使われている建長寺の「白衣観音図」は片膝を立て、その上に右手を乗せています。その隣に白衣観音図(伝牧谿筆)、観音図(伝祥啓筆)も展示されていましたが、どちらも遊戯坐像でした。特に観音図(伝祥啓筆)は右足の衣を膝まで上げ、流れ落ちる水に足を当てています。
説明の方によると、仏像、仏画は当然礼拝の対象でしたが、遊戯坐像は礼拝の対象から鑑賞の対象に変化しているそうです。片膝を立てていたり、足を水に当てている等の仏画は手を合わせて拝むよりも鑑賞対象なのかも知れませんね。
彫刻としては、清雲寺の観音菩薩坐像、慶珊寺の十一面観音菩薩坐像が並んで展示されていました。清雲寺像は中国で作られてたもの、慶珊寺像は日本で作られたものです。
どちらも遊戯坐像ですが、清雲寺像は右足を立てていますが、慶珊寺像は足を立てていません。これは日本では足を立てるのは行儀が悪いので、そのような像は受け入れられなかったのではないかと話されていました(しかし、四国にある遊戯坐像は片足を立てているそうです)。
清雲寺像を拝観するのは今回で三回目ですが、今回が一番良く感じました。泉涌寺の楊貴妃観音の写真もあり、それと比較することで両像の似ている点がよく分かりました。例えば、両像ともお腹のあたりに渦巻状の模様があります。
鎌倉国宝館の展示解説は丁寧に説明してくれるので、毎回とても満足しています。

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