西楽寺はまずは本坊から拝観しました。胎蔵界の大日如来像が安置されており、豊臣秀吉、徳川家の位牌もありました。静岡県なので徳川家の位牌があるのは不思議ではなかったですが、秀吉の位牌は不思議でした。秀吉の位牌があるのは何故かというと、秀吉が一番最初に仕えた松下嘉兵衛が西楽寺と縁があるからだそうです。また徳川家の位牌の中、家康の位牌がありません。これは西楽寺にはかって東照宮がありましたが、神仏分離令で東照宮が廃止された際に一緒に行方不明になったからだそうです。

奥の部屋には平安時代の薬師三尊像が祀られており、平安時代らしい仏様だと感じました。その左隣には胎蔵界の大日如来像が安置されていました。先程も胎蔵界の大日如来だったので、お寺の方に尋ねると、「人を供養する建物には胎蔵界、修行する建物には金剛界の大日如来が祀られる」と教えて頂き、非常に為になりました。

別の部屋には銅製の不動明王立像も祀られていました。幕末、有栖川宮は東海道を江戸に向かう途中、こちらの不動明王に戦勝祈願をしました。結果、江戸城は無血開城になったので、そのことに感謝し、西楽寺は有栖川宮家の祈祷所になったそうです。不動明王像は江戸時代の作ですが、様々なことを経験しています。

次は本堂に行きました。中央には阿弥陀三尊像が祀られていました。こちらの阿弥陀如来像は平安時代の作ですが、玉眼が使われています。玉眼が使われている最古の像は長岳寺の阿弥陀如来像ですが、それよりも古い可能性があるそうです。そんな凄い仏像が静岡県にあるとは驚きました。

脇侍の観音、勢至菩薩像は一般的に向かって右に観音、左に勢至菩薩ですが、こちらの像は位置が逆で、右に勢至、左に観音菩薩でした。理由はお寺の方も分からないそうです。また、こちらの両像は観音菩薩は右ひざを立てていますがいわゆる大和坐りで、良い像でした。

本堂には他にも四天王像、愛染明王像など素晴らしい仏像が数多く祀られており、印象に残る参拝となりました。


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