3月5と6日は吉田さらささんとの寺社めぐりツアー「駿河路の名刹探訪 慶派の仏像巡りと坐禅体験」に参加しましたので、その時に訪れた寺社のことについて書きます。

最初に訪れたのはJR静岡駅からほど近いところにある新光明寺別院です。「到着しました」の声でバスを降りても周りはビルばかりでお寺らしい建物は見あたりません。なんと、新光明寺別院は迦葉館というビルの七階にありました。

エレベーターで七階まで上がり、お寺の中に入ると近代的なお堂の中に阿弥陀如来立像が安置されていました。

まずはご住職のお話です。阿弥陀如来像はどちらかの手が欠けて、修理に出されました。その際、作風等から快慶作ではないかと思われ、調査すると五輪塔が胎内にあることが分かり、安阿弥陀仏と称した快慶作にほぼ間違いないと考えられるようになったそうです。

像は玉眼で、玉眼を押さえるためにバネが使われているそうです。これはバネが使用された最古の例であると考えられ、日本ばね学会の方も来られたことがあるそうです。

元は切金が施されており、表面にある金箔をとると切金が復活するそうです。しかし、お寺はそうしないそうです。理由は、今の状態が安定しており、仏像は拝む対象なので、無理にオリジナルに戻す必要がない為だそうです。

お寺の理由は最もだと思いますし、像を造った仏師は切金を施したのだから仏師の意思を尊重するためにも切金を復活させるべきだとも思う気持ちもあります。先日訪れた薬師寺東京別院でも文化財保存について考える機会があったので、仏像をどのように保存するのがよいかは色々と意見が分かれる難しい課題ですね。

阿弥陀如来像なので指で輪っかを作っていますが、こちらの像は親指と中指で輪っかを作っています。仏教では、三毒(貪(とん)・瞋(じん)・癡(ち))の概念があります。中指で輪を作っているということは、二番目の瞋(じん)、つまり、怒りの心を抑えるという意味でもあると話され、強く印象に残りました。

新光明寺は現在の別院の場所に創建され、本院は別の場所にあるそうです。現在の場所はビルになってしまっていますが、建物は変わってしまっても阿弥陀如来像はずっとこの場所で祀られていたので、本院ではなく、別院である現在の場所に安置されているそうです。

説明の後、像を近くで拝観させて貰いました。吉田さんは「猫顔」と称されていましたが、確かに猫顔に見えます。正面から見ても左右から見ても、素敵な像でした。

新光明寺別院では、ご住職から良いお話も聞け、快慶作と言われる素晴らしい仏像を間近で拝観でき、良い参拝となりました。

新光明寺別院はいつでも拝観でき、静岡駅からも近いですし、静岡に行かれた際は是非、訪れることをお勧めするお寺です。
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