最上三十三観音霊場では今年、午歳ご縁年「観音まつり」が開催されており、いくつかのお寺で札所本尊の観音像がご開帳されています。第十六番札所の
長岡観音(長念寺)もその一つです。
お寺に到着し、お堂に上がると、中央厨子の中に十一面観音立像が祀られていました。案内によると、寒河江城主・大江氏の守護仏だったそうです。そして、お堂の左側には五智如来像が祀られており、等身大の立派な像だったので驚きました。また不動明王立像と童子像も祀られており、童子は当然、コンガラ童子とセイタカ童子だと思ったのですが、よく見ると、聖徳太子像の二歳像と十六歳像のように思えましたがどうなんでしょうか。
隣のお堂に移動すると、立派な不動明王坐像が祀られていました。またその奥には、両界大日如来座像、つまり、胎蔵界大日如来像と金剛界大日如来像が一つの厨子の中に祀られている珍しい像が祀られていました。出羽三山の一つである湯殿山の本地仏が大日如来なので、山形県には、素敵な大日如来像がたくさんありますね。
拝観後、お寺の方からお茶の接待を受け、話を聞くと、近くに大きな真言宗のお寺があったそうですが、明治時代の廃仏毀釈の際に廃寺となり、そのお寺に祀られていた仏像類が長念寺に移されたと考えられているそうです。
その証拠として、長念寺の護摩檀は普通のものに比べて、とても大きいです。これほど大きな護摩檀は、大きなお寺にしかなかったと考えるのは当然だと思います。
また、山形県の詩人・日塔貞子のことも紹介してくれました。若い頃、貞子の詩を読んで感動しましたが、本は直ぐに絶版になりました。待ってても再販される動きがなかったので、自身で行動し、貞子の本を再販したそうです。
長念寺では、素晴らしい仏像、素敵な話を聞けて、良いお寺めぐりでした。
