東北一、いや日本一と言ってよい毘沙門天像が祀られている成島毘沙門堂は成島三熊野神社の境内にあります。ですので、入口には鳥居があります。

境内を奥に奥に進むと、収蔵庫があり、受付で拝観料400円を払いました。成島毘沙門堂はいつも人がいますので、拝観予約の必要はありません。
中に入ると、中央に大きく、立派な兜跋毘沙門天立像が祀られていました。毘沙門天を支える地天を含めると4.73メートルとのことで、丈六仏です。毘沙門天像が向かって右下を見ているので、そこから見る姿が一番良かったです。
毘沙門天が坂上田村麻呂で、地天は土地の神とのことです。これを聞いて、何故、普通の毘沙門天像ではなく、兜跋毘沙門天像が祀られているのか分かったような気がしました。
坂上田村麻呂はアルテイ、モレら蝦夷との戦の後、東北地方に平和な時代が訪れることを願い、毘沙門天を地天が支える兜跋毘沙門天像、つまり、坂上田村麻呂を東北の人々が協力して支える兜跋毘沙門天像を祀ったのだと感じました。
毘沙門天像の横には、手を胸の前でクロスさせて、大和ずわりをしている藍婆(らんば)、毘藍婆(びらんば)が祀られていました。
毘沙門天、地天、藍婆、毘藍婆で一つの像ですね。
収蔵庫の左側には、伝・吉祥天像が祀られていました。頭上に二つの象の頭がある大変珍しい像です。
伝・吉祥天像となっているのは
・18本の脇手があった跡があるため、千手観音ではないか考えられている
・象が頭上にあるので、歓喜天像でないかと考えられている
ためです。
胸の部分の木目が乳首のように見えると教えていただき、少し離れた場所から見ると、確かにそのように見えました。と言うことは、像は伝承の通り、吉祥天ではと思いました。
収蔵庫の右側には、本来ならば、阿弥陀如来像が祀られているはずですが、東日本大震災で被災し、頭と腕が取れ、修復中です。毘沙門天像は支えがあるため、倒れることはなかったそうです。
成島毘沙門堂は、訪れた人に感想を尋ねると「また訪れたい」と必ず言うほど、素晴らしい仏像が祀られている場所です。もちろん、私もまた訪れたいです。