前の記事に書いたように浄光明寺の阿弥陀三尊像は東京国立博物館の特別展に出展されています。その代わりとして、通常非公開の愛染明王像と不動明王像が公開されていますので、27日に浄光明寺を訪れました。

収蔵庫に行くと、真ん中に愛染明王像、向かって右に不動明王坐像、左に地蔵菩薩立像が安置されていました。
鎌倉地方の愛染明王像はかって鶴岡八幡宮寺に祀られていた、現在は五島美術館所蔵の愛染明王像をモデルに造られていることが多いです。モデルにしたかどうかは膝の部分に衣のヒラヒラがあるかどうかで分かります。浄光明寺の愛染明王像はヒラヒラがはっきりとあり、鶴岡八幡宮寺の像をモデルにしたものだと分かりました。
浄光明寺の愛染明王像は五島美術館のものより小さいですが、同じように大変迫力のあるものでした。また像は全体に赤い色が残っており、特に蓮華座は赤い色が綺麗に残っていました。これは秘仏にされていたからだと思います。
地蔵菩薩立像は矢取地蔵と呼ばれているもので、普段は見えにくい場所に祀られていますが、今回はよく見える位置に安置されています。端正なお顔をしており、左足が少し前に出ていました。これは矢を拾いに行くその瞬間を表現しているのでしょうか。
矢取地蔵は足利直義を助けた逸話が広く知られていますが、北条長時を助けたという話もあるそうです。また矢を拾うという伝説は千葉一族で盛んに語られているそうです。千葉一族の場合は矢を拾うのはお地蔵さんではなく、やはり妙見菩薩だそうです。
不動明王像は脇にコンガラ童子とセイタカ童子も祀られていました。三尊とも白く、特に脇侍の童子は白かったです。鎌倉の白不動ですね。傾いた京都の八坂の塔を法力で戻した時の祈祷・本尊という逸話があるそうです。
阿弥陀三尊像はいらっしゃいませんが、秘仏の愛染明王像などが公開されており、訪れる価値は十分あります。