「運慶 その造形と人物像」講演会

昨日、東博の密教美術展に訪れようと思ったのは、午後1時半から東洋館室長の浅見さんによる「運慶 その造形と人物像」講演会があったからです。

まずは北円堂の無著像を紹介し、名前は浅見(あさみ)だが、深みがあるという言葉が好きで、無著像からは深みを感じると笑いをとっていました。

願成就院の仏像は運慶が東国に下って造ったか、奈良にいて造ったか、議論が続いており、東に住んでいる研究者は東国に来た、西に住んでいる研究者は奈良で造ったと考える人が多いそうです(冗談で言っただけかもしれませんが)。

浅見さん自身は東国に下った説を取るそうです。その当時、急速に力をつけていた鎌倉武士からの造仏の要請ならば、ご機嫌伺いもかねて、東国に下るのではないかと話されていました。金沢文庫で聴講した運慶講座で、願成就院は奈良で、浄楽寺は東国に下って造仏した説を聞いたので、そのなのかなと思っていましたが、資料が出ない限り、決着はつかないのでしょうか。

また、制多迦童子の話もされました。願成就院の制多迦童子はとても変わった表情をしています。これは北条時政が運慶に造仏を高圧的に頼んだが、表立って文句を言えない運慶があのような表情を彫ったのではないかと話されました。このように仏像から色々想像するのは楽しいですね。

今回の講演会の本題(?)になるような真如苑と光得寺の大日如来像の話をされました。どちらも山本勉先生により運慶作と考えられていますが、真如苑の像に関して、果たして、運慶作かと疑問を投げかけていました。

両像を並べて紹介し、どちらの像を良いと感じるかと尋ねられ、浅見さんは光得寺のほうが良いと感じるそうです。真如苑の像に関して、運慶仏としては甘いと感じるところをいつくか紹介していましたが、私がなるほどと思ったのは、智拳印と胸の間の空間が小さいという話です。

円成寺の大日如来像と特徴として、智拳印と胸の間の空間の取り方が他の像と比べて、大きいことが指摘されていますが、真如苑像は展示していたのを後で確認しましたが、確かに光得寺像よりも空間が少なかったです。真如苑像は光得寺像の模刻の可能性もあると話されていました。

重源上人像も運慶作として考えるには写実的でないと話され、興福寺・南円堂の四天王像は運慶作かなど今後の研究が待たれる話もありました。

上述した以外にもたくさんの話があり、時間は90分でしたが、本当にあっという間に過ぎた感じです。東博でもいつか運慶展を開催したいと最後に話されていましたので、その日が楽しみですね。

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「空海と密教美術展」に行きました

昨日(7/30)、東京国立博物館で開催されている「空海と密教美術展」に行ってきました。10時30分ぐらいに到着しましたが、並ぶことなく、入館することができました。以下、印象に残った展示を紹介します。

・弘法大師自筆の書

弘法大師自筆の書が展示されていました。展覧会等では、よくお経の写本が展示されていますが、そこの文字はお手本になるような綺麗に整ったものです。一方、弘法大師の文字は力強いもので、その自筆を鑑賞できたことだけで感動しました。

・東寺 兜跋毘沙門天立像

東寺の宝物館に祀られている像で、私の好きな仏像です。宝物館では少し距離がありますが、展示では間近で、しかも360度からその姿を拝観することができました。

兜跋毘沙門天は目線が少し向かって右側を向いていますので、正面から少し右側に移動した場所からのお姿が一番良かったです。もちろん、後ろ姿も素晴らしかったです。また下にいる二鬼がユーモラスな表情なのが印象に残りました。この兜跋毘沙門天像を360度から拝観できるだけでも、密教展に来る価値はあると思いました。

・五大力菩薩像

大きな仏画です。「大きいことはいいことだ」ではありませんが、大きな仏画はやはり迫力があります。

高雄曼荼羅も大きな曼荼羅です。傷みのため、パッと見ただけではよく分かりませんが、しばらく眺めていると、描かれていた仏様がうっすらと見えてきます。

・東寺 女神坐像

大きく、たくましい像です。左手に未敷蓮華を持ち、右手は親指と中指で輪っかを作っていました。聖観音像によく見られるように、まだ開いていない蓮の花を開けようとしている姿、つまり、悟りを得ようとしている姿を表わしていました。

東寺には二体の女神像がありますが、2008年春に開催された東寺の特別展は「東寺鎮守八幡宮と足利尊氏」で、一体の女神像とお会いしました。その像が今回の像と一緒だったかどうかは残念ながら覚えていません。

・神護寺 五大虚空蔵菩薩像

神護寺に祀られている五大虚空蔵菩薩像の中、二体が展示されていました。五大虚空蔵菩薩像は神護寺で拝観したことがありますが、その時のイメージよりも大きく感じました。

像は本当に素晴らしいものです。私の隣で鑑賞していた年配の方が手を合わせていましたが、正に自然と手を合わせたくなる仏像です。

・獅子窟寺の薬師如来像

私は獅子窟寺には行ったことがありませんが、訪れた多くの人から素晴らしい仏像だと聞いていましたので、拝観するのを楽しみにしていました。

切れ長の目も気になりますが、衣の線のダイナミックさに目がいきます。特に足の部分の衣が素晴らしく、足の裏まで、衣で隠れています。

像は薬師如来なのに、薬壺ではなく、宝珠を持っていましたのが不思議でした。何か意味があるのでしょうか。

・醍醐寺 五大明王像

醍醐寺の霊宝館に安置されている像です。醍醐寺の五大明王像はインパクトの強い像ですが、私の好みではなく、あまり良い印象は持っていませんでした。

しかし、今回の展示ではとても素晴らしく感じました。これは展示でのライティングの見事さがあると思います。

醍醐寺からは如意輪観音像も展示されていましたが、こちらも霊宝館で拝観するのとは異なったイメージを持ちました。仏像は展示の仕方で受ける印象も随分違ってくるのだと思いました。

薬師如来三尊像も展示されていました。薬師如来像はとてもたくましく感じ、如来という感じがします。

・東寺 立体曼荼羅諸仏

東寺の立体曼荼羅を構成する二十一体から、梵天、持国天、金剛業菩薩、金剛法菩薩、降三世明王、大威徳明王、帝釈天、増長天像の八体が展示されています。

なんといっても素晴らしいのは、それらの像は360度から鑑賞することができることです(東寺ではできませんからね)。それぞれの像を360度から眺めましたが、不自然な部分は全くありませんでした。どの角度から眺めても自然となるように、仏師は造っていたんですね。運慶が東寺の立体曼荼羅の諸仏から大きく影響を受けたという理由も分かります。

以上、紹介しましたが、これ以外にも素晴らしい展示がたくさんあり、本当に良い展示でした。このような展示を一階だけ訪れるのはもったいないので、後、数回は訪れようと思っています。

(追記)8/7,8,9とNHK BSプレミアムで「空海 至宝と人生」が三夜連続で放送されるので、こちらも必見です。


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石仏

今回のツアーでは吉田さんの影響もあり、皆さん、石仏の写真をたくさん撮っていました。私も何枚か撮りましたので、紹介したいと思います。

・独りを慎む



小栗山木喰観音堂の拝観が終わった後、周りに何体か石仏があるということで、それらを拝観しました。他の石仏はすぐに見つかったのですが、残りの一体は教えてもらった場所の周辺を探しても、なかなか見つかりません。

やっと見つかった石像は薬師如来様で、大きな岩の陰にいらっしゃいました。元々は岩の上に祀られていたそうですが、中越沖地震の際、上から落下し、それ以来、今の場所に祀られているそうです。

大きな岩に隠れて、通りからはその姿を直接拝することができません。岩のある場所まで移動し、その姿を拝観しましたが、優しい良いお顔をされていました。その姿には、独りを慎むという言葉が相応しいと思います。

自分独りでいる時、つまり他人が見ていない時でも己をしっかりと律していく。こちらの薬師如来石像は正にそれを実践していると思います。

・頼ったって、いいんだよ



宝生寺の境内に祀ってあった羅漢像(あるいはお地蔵さん)です。一番右側の羅漢さんが隣りの羅漢さんにもたれかかっています。

いつも誰にも頼らず、一人で頑張っている人がいます。その姿勢は本当に素晴らしいです。でも疲れた時や困った時は、誰かに頼ってもいいですよ。立派な羅漢さんでも時には頼ることがあるんですから。

・素晴らしい





真福寺にある梨木観音を祀るお堂の隣にいらっしゃった菩薩石仏です。像は大きなもので、踏み下げ像です。そんなに古いものには思えませんが、時代はいつ頃のものでしょうか。

その姿は本当に美しかったです。周りの景色とも上手く調和していました。石像としては、今回のツアーで一番のものです。
テーマ : 寺巡り
ジャンル : 旅行

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