山形県寒河江市にある慈恩寺は今回のツアーで楽しみにしていたお寺の一つです。慈恩寺には五年程前に一度訪れたことがあります。しかし、その頃は本格的にお寺めぐりを始めたばかりでしたので、薬師堂に十二神将が祀られていたのは覚えていますが、本堂の御本尊はどの仏様だったかは覚えていません。ですので、その当時より自分がどの程度、進歩したのかを確認する意味でも訪れるのを楽しみにしていました。
三重塔の近くでバスを降りました。りっぱな三重塔なのでゆっくり眺めていたいところですが、まずは本堂に向かいます。境内に入ると三重塔も素晴らしかったですが、各お堂も素晴らしいです。
本堂内に入ると内陣まで案内され、お寺の方の説明が始まりました。この時、前回訪れた時も同じように説明を受けたことを思い出しました(もちろん、内容までは思い出せませんが)。

三重塔

本堂
慈恩寺は祈願寺で、縁起によるとインドのバラモン僧が奈良時代に開基したと伝わっているそうです。法相、天台、真言、時宗の宗旨が併存していましたが、現在は法相宗の法式に基づいています。
大きな厨子の前には向かって左から、阿弥陀如来像、持国天像、弥勒菩薩像、多聞天像、聖観音像が祀られていました。厨子には菊の紋があり、また江戸時代に徳川家から朱印地をもらっていたので、徳川の葵の紋もありました。
弥勒菩薩像は説法の弥勒と呼ばれ、お前立ちで、厨子の中には秘仏が三十三体納められているそうです。秘仏は過去の六回、御開帳されたことがあり、最近では平成4年に山形国体を記念して御開帳されたそうです。
多聞天は表面が割れているように見えますが、こういう造りなのだそうです。また、阿弥陀如来像は口を開けて歯を見せている歯吹の阿弥陀像ですが、金歯が入っている日本で唯一の仏像だそうです。
また、釜のようなものがあり、そこに頭を入れると「美人になる」、「呆けなくなる」等のご利益があり、お寺の方の説明が終了した後、まずは釜に頭を入れてから厨子を一周するように拝観をしました。
次は薬師堂です。薬師三尊像が祀られており、その奥に十二神将像が祀られていました。十二神将像は色が結構残っており、いずれも素晴らしい像です。十二神将像は中国の武将のような姿をしていますが、波夷羅(はいら)大将だけが武将の姿ではなく、異質に感じました。また、安底羅(あんていら)大将はウインクをしているような表情で、人気の出る仏像だと思いました。
薬師三尊像のうち、日光、月光菩薩像は地方仏っぽさを感じましたが、やはり、慈恩寺で造られたものだそうです。
次は阿弥陀堂に行きました。宝冠阿弥陀如来像が手前に祀られており、その奥に小さい阿弥陀如来像が祀られていました。宝冠をかぶっている阿弥陀如来は天台宗で信仰されるものだそうです。
到着した時間が遅かったので、少し駆け足での参拝となりましたが、慈恩寺は建物、仏像とも素晴らしく、東北一の名刹という言葉が相応しいお寺だと感じました。